慢性腎不全で透析を受けている患者の数は増加の一途をたどっており、その大きな原因といわれているのが糖尿病患者の増加です。では、なぜ糖尿病がCKDを引き起こすのでしょうか?糖尿病で高血糖の状態が続くと、血液をろ過する腎臓の糸球体が厚く硬くなり、正常に老廃物を排泄することができなくなります。そうなると、体の中に老廃物が溜まって腎臓の機能はますます低下。糖尿病性腎症に陥ります。
※早期腎症から顕性腎症への進行を抑制するための目標値です。顕性腎症以降の目標値については、現時点では
裏付けとなる証拠が不十分なため設定されていません。
日本腎臓学会編:エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2018, p84, p108-109
糖尿病とは?
糖尿病とはインスリンというホルモンの作用が低下したため、血液中のブトウ糖(血糖)が多くなっている状態。インスリンがすい臓から分泌されない1型糖尿病と、インスリンの分泌が少ないという遺伝的な要素に生活習慣の乱れが加わって発症した2型糖尿病があります。
血糖値をコントロールせず、糖尿病を放置しておくと全身に合併症が現れる危険性があります。特に起こりやすいのが、糖尿病性神経障害、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症で、糖尿病の三大合併症と呼ばれています。高血糖の状態が10~15年続くと糖尿病性腎症が起こるといわれており、自覚症状がなくともしっかり血糖コントロールを心がけることがCKD予防の最大の鍵となります。
発症・悪化予防の鍵は血糖値のコントロールと早期発見
CKD患者の約4割が糖尿病を合併しているといわれており、実際、糖尿病性腎症は新規透析導入の原疾患の第1位となっています。糖尿病性腎症の発症・悪化予防には、厳格な血糖コントロールが重要になります。
発症直後から事態の深刻さや合併症の危険性を理解し、上手く病気とつきあう生活習慣を確立していきましょう。また、定期的に血液検査や尿検査を受け、早期発見を心がけましょう。