監修:東海大学医学部腎内分泌代謝内科 教授 深川雅史 先生

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監修:東海大学医学部腎内分泌代謝内科 教授 深川雅史 先生

CKDと互いに影響を与え合う病気
糖尿病

糖尿病により慢性腎臓病を併発した場合には、糖尿病と腎臓病の両方の治療が必要で、エネルギーや血糖値のコントロールが必須です。代表的な合併症として腎不全や網膜症、神経障害などがあり、カリウムの値も高くなりやすいので注意が必要です。逆に、CKDにより栄養制限をしている方や透析治療を受けている患者さんが、糖尿病になることもあります。

血糖

HbA1c:7.0%未満

  • 注) 75歳以上はHbA1c8.0%未満(下限 HbA1c7.0%)を目安に、個別の状況を考慮し治療目標が設定されます。
  • 早期腎症から顕性腎症への進行を抑制するための目標値です。顕性腎症期以降の目標値については、現時点では裏付けとなる証拠が不十分なため設定されていません。
  • 出典:「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2018」p84,108-109(日本腎臓学会編)

糖尿病とは

糖尿病とは、インスリンというホルモンの作用が低下したため、血液中のブトウ糖(血糖)が多くなっている状態。インスリンがすい臓から分泌されない1型糖尿病と、インスリンの分泌が少ないという遺伝的な要素に、生活習慣の乱れが加わって発症した2型糖尿病があります。

血糖値のコントロールを心がけてCKDの予防を!

血糖値をコントロールせず、糖尿病を放置しておくと全身に合併症があらわれる危険性があります。特に起こりやすいのが、糖尿病性神経障害、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症で、糖尿病の三大合併症と呼ばれています。糖尿病患者さんでは、高血糖の状態が10〜15年続くと、血糖値を同じ期間適切にコントロールしていた場合よりも、糖尿病性腎症を発症しやすいことが知られています。たとえ自覚症状がなくてもしっかり血糖値のコントロールを心がけることがCKD予防の最大の鍵となります。

  • ※出典: 日本臨床内科医会調査研究グループ. 糖尿病性神経障害に関する調査研究 第1報 わが国の糖尿病の実態と合併症, 2001, 16(2), 167

発症・悪化予防の鍵は血糖値のコントロールと早期発見

CKD患者さんの約4割が糖尿病を合併しているといわれており、実際、糖尿病性腎症は新規透析導入の原疾患の第1位となっています。糖尿病性腎症の発症・悪化予防には、厳格な血糖値のコントロールが重要になります。 発症直後から事態の深刻さや合併症の危険性を理解し、上手く病気とつきあう生活習慣を確立していきましょう。また、定期的に血液検査や尿検査を受け、早期発見を心がけましょう。