CKDによって起こりやすい合併症
高カリウム血症
カリウムは、細胞の興奮に関与している栄養素で、腎機能が低下すると、腎臓から排出されるカリウムの量が減り、高カリウム血症になることがあります。さまざまな神経症状や筋症状があらわれる他、高度な高カリウム血症は不整脈から心停止の原因になる可能性があり、大変危険です。必ず専門医に相談してください。
血清カリウムの目標値
4.0mEq/L以上、5.5mEq/L未満※
- 出典:「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2018」p16(日本腎臓学会編)
CKDと高カリウム血症、代謝性アシドーシス
CKDでステージが進むと、腎臓の機能の低下によるカリウム(K)排泄の低下と、代謝性アシドーシス合併により、血清カリウム値は上昇します。高カリウム血症は致死的な不整脈から心停止に至ることもあり、最大限の注意が必要です。
カリウムとは?
カリウムはほとんどが細胞内に存在します。細胞外のカリウム濃度は全体としてはわずかではありますが、極めて重要な役割があり、神経伝達や筋肉収縮に関与しています。体内に取り込まれたカリウムは主に腎臓から排泄されるため、CKDでは血清カリウム値が上昇します。
高カリウム血症は大変危険です!
血清カリウム値5.5mEq/L以上を高カリウム血症といいます。カリウムは細胞の興奮に関与しているため、血清カリウムの異常によりさまざまな神経症状、筋症状を呈します。なかでも血清カリウム値が7mEq/L以上では不整脈から心停止に至ることもあり大変危険です。必ず専門医へ相談してください。
高カリウム血症の対策とは?
CKD患者さんでは、食事内容が血清カリウム値に影響をおよぼします。カリウム含有量の多い食品を控えたり、「水にさらす」「茹でこぼす」など、調理にひと工夫するようにしましょう。
生で食べる野菜は30分ほど水にさらすことで約10%のカリウム、加熱して食べる食材は茹でこぼすことで15~45%程度のカリウムを減らすことができます。
カリウム抑制薬(陽イオン交換樹脂)は、カリウムを吸着し便とともに排泄することで、血清カリウムを減少させることができますが、一方でCKDで投与される機会が多い薬物(ACE阻害薬、ARB、抗アルドステロン薬など)により、逆に高カリウム血症が誘発される場合もあります。薬剤に関しては必ず専門医に相談するようにしましょう。
カリウムを多く含む食品
野菜・いも類
果物
- ※ 他に青菜類、レンコン、干した食品、海藻類、豆類など
代謝性アシドーシスとは?
人体では通常、尿中への水素イオン(H+)排泄と呼吸による二酸化炭素(CO2)排泄により、血液中のpHは7.4程度になるよう調整されています。しかし、腎臓の機能が低下すると尿中に水素イオンが排泄できなくなり、水素イオンが蓄積して血液は酸性となります。この状態をアシドーシスといいます。GFR低下によるアシドーシスにはさまざまな要因があり、主に食事由来の酸であったり、腎障害などがあげられます。アシドーシスの状態になると、細胞はバランスをとるために水素イオンを細胞内に取り込み、代わりにカリウムを細胞外に放出します。このことが結果的に高カリウム血症をきたすことになるのです。血清カリウム値の異常がある場合、アシドーシスの確認が必要となります。