CKDによって起こりやすい合併症
腎性貧血
腎臓は、血液をつくる造血ホルモン「エリスロポエチン」をつくります。このホルモンは骨髄にはたらきかけて赤血球を生成するように促しますが、腎機能が低下すると、その役割に支障が出て、貧血を起こしやすくなります。この症状を「腎性貧血」といい、鉄が不足する一般的な貧血とは異なります。治療には腎性貧血治療薬を投与します。長く使われていた注射薬※に加えて、近年経口薬も登場しました。
- ※ ESA : 赤血球造血刺激因子製剤
腎性貧血
透析前のCKD患者さんのヘモグロビン目標値
11g/dL以上、13g/dL未満※
- 注) 75歳以上は死亡の危険性の観点からヘモグロビン値9g/dL以上が治療目標とされる場合があります。
- ※ 重篤な心血管疾患の既往や合併のある方、あるいは医学的に必要のある方では、ヘモグロビン値12g/dLを超える場合にESAの減量・休薬が考慮されます。
- 出典:「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2018」p38-39, p85(日本腎臓学会編)
腎性貧血とは
腎臓の機能が低下
エリスロポエチン産生の低下
骨髄における赤血球の産生の刺激低下
赤血球が不足し腎性貧血に
腎性貧血の症状
疲れやすい
動悸・息切れ・めまい
身体がだるい
顔色や唇、爪が蒼白になる
腎性貧血の治療とは?
エリスロポエチン産生低下を補うために、赤血球造血刺激因子製剤(ESA)の投与が行われます。
また、腎性貧血治療において鉄欠乏があれば、鉄剤が使用されることもあります。
治療により、疲れやすい・動悸・息切れ・めまいといった症状が改善され、生活の質を改善するだけでなく、腎臓および心臓の保護作用が期待できます。
早期から治療を行えばCKDの悪化を防止できるので、CKD患者さんは定期的な血液検査を行い、ヘモグロビン値を確認するようにしましょう。