CKDと互いに影響を与え合う病気
骨・ミネラル代謝異常
腎臓はミネラル代謝調節に大きな役割をはたしており、その異常はCKDの進行に影響されます。CKDが進行すると、骨がもろくなるといった変化だけでなく、骨ではないところに石灰化を起こすなど全身に異常を生じます。ステージ3の時期から血清リン、カルシウム、PTHの定期的検査を行い、早期より管理することが重要となります。
ミネラル代謝管理
CKD患者さんにおけるミネラル代謝管理の目安
血清リン(P)値 | 血カルシウム(Ca)値 | Intact PTH値 | |
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保存期 | 各施設の基準値内に維持する | 基準値上限を超える場合、この是正を考慮する | |
透析期 | 3.5~6.0mg/dL | 8.4~10.0mg/dL | 60~240pg/mL |
出典:
- 1) 日本透析医学会:慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常の診療ガイドライン,透析会誌45(4):301-356,2012より作成
- 2) 日本腎臓学会編:エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2018, p41
骨・ミネラル代謝異常とは
骨・ミネラル代謝異常の治療とは?
血清カルシウム、PTHの管理に先だって血清リンの管理が優先されます。リンの管理は血清リンが基準値を超える前から、食事療法によって始めることが望ましいといわれています。リンはたんぱく質に多く含まれているため、たんぱく質制限が実施されていればリン摂取量も制限されていることになりますが、たんぱく質は体に不可欠な栄養素であり、必要以上の制限は逆に悪影響をおよぼします。たんぱく質制限以外にリンを多く含む食品添加物をさけることで、効率よくリンを管理することができますので、加工食品やファーストフード、清涼飲料水の摂取を控えるようにしましょう。また、血清リンが基準値上限を超えた場合、リン吸着薬の服用が考慮されます。