CKDと互いに影響を与え合う病気
脂質異常症
脂質異常症とは、血中のコレステロールや中性脂肪などの脂質代謝に異常をきたした状態です。動脈硬化を引き起こし、たんぱく尿や腎機能の低下につながります。また狭心症や心筋梗塞などの心臓血管の病気をはじめ、高血圧や糖尿病、さらにCKDの危険性も高めます。
脂質
一次予防※1 における目標値 | ニ次予防※2 における目標値 | |
---|---|---|
LDLコレステロールの目標値 | 120mg/dL未満 | 100mg/dL未満 |
Non-HDLコレステロールの目標値 | 150mg/dL未満 | 130mg/dL未満 |
- ※1:一次予防: 冠動脈疾患(心筋梗塞や狭心症など)の発症予防のための治療
- ※2:二次予防: 冠動脈疾患の既往のある方の再発予防のための治療
- 注)目安の値は動脈硬化性疾患予防ガイドライン2017年版に準拠しています。
- 出典:「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2018」p49-50(日本腎臓学会編)
CKDでは脂質異常症の治療により、たんぱく尿の減少と腎臓の機能低下の抑制が期待できます。また、脂質異常症はそれ自身が心血管疾患の発症の危険因子でもあるため、同時に心血管疾患の発症予防にも効果があります。脂質管理においても、まずは食事療法や運動療法などの生活習慣の改善が優先されます。食事療法では、まず総摂取エネルギーを考慮し、適正なコレステロールの摂取を心がけるようにしましょう。また、運動にはHDLコレステロール(善玉コレステロール)を増やすとともに中性脂肪を減らす効果があり、脂質異常症の改善には不可欠です。
管理目標値達成のために薬を服用しましょう。
食事療法や運動療法などの生活習慣の改善を一定期間続けても改善がみられない場合、薬による治療が開始されます。症状や原因に合わせてコレステロールがつくられるのを抑制する薬や、コレステロールの吸収を抑える薬などが処方されます。同時に、食事療法や運動療法をしっかり続けていけば、薬を減量、中止することも可能です。CKDの悪化防止と心血管疾患の予防のために、管理目標値の達成を心がけましょう。